ミッションやビジョン、企業理念は、「目指すところ」を示す大切な指針です。ただ本当に大事なのは、「きれいな言葉をつくること」ではなく、「その意味をみんなで共有し続けること」なのだと思います。どれだけ素敵な言葉を掲げても、日々の判断や行動につながっていなければ、形だけのものになってしまいます。
組織運営の観点で見ると、ミッションやバリューがしっかり浸透し、社員一人ひとりに定着して「文化」になっていくことには大きな意味があります。そこまでいくと、細かく指示を出さなくても、それぞれが同じ基準で考え、動けるようになります。つまり、統制や管理にかかるエネルギーが減り、結果として「省力化」が実現されていくのです。
ただし、ここでよく起こるのが、「伝えた」と「伝わった」のズレです。リーダーが丁寧に説明したつもりでも、受け取る側の経験や立場によって、意味の受け取り方は自然と変わります。同じ言葉でも、ある人には希望に聞こえ、別の人には現実離れして感じられることもあります。この小さなズレが積み重なると、気づかないうちに組織の中に温度差や分断が生まれていきます。
だからこそ、ミッションやビジョンは一方的に伝えるものではなく、ていねいなプロセスを通して少しずつ深めていくものだと感じます。「自分たちにとってこれはどういう意味だろう?」と問いかけ合いながら、それぞれの言葉で捉え直していく。そのプロセスの中で、言葉は少しずつ自分ごとになっていきます。
ミッションとは、縛るためのものではなく、安心して広がっていくための土台なのかもしれません。



コメント