INTEGでは、「課題・問題」ではなく、「すでにある強み・長所」に、より焦点を当てた取り組みを行っています。
いま振り返ってみると、そうした発想は長年の経験の中で「発見」してきたことだと感じています。
―― セネガルでの出来事から学んだこと
西アフリカの国、セネガルに通っていた頃のことです。私は、ある小さな島の人たちと家族のような関係を築いていました。笑い合い、食事を共にし、互いに支え合う。そんな日々の中で、私はすっかり「ここは自分の居場所だ」と感じていました。
しかし、ある日、その感覚を大きく揺さぶられる出来事が起きました。島の友人の子どもたちにとり囲まれ、「その服をよこせ」と脅迫されたのです。私は強い衝撃を受けました。
同じ頃、別の場面でも辛い言葉をよく耳にしていました。「どうせ俺たちは奴隷の末裔だ」。その言葉に対して、私は思わずこう返していました。
「奴隷で連れて行かれた人の子孫なら、もう今はここにいない。」
その子どもたちや島の未来のことを考えながら、ダカール(セネガルの首都)からパリまでの飛行機の中で、悔しさのあまりずっと号泣していたのを記憶しています。
しかし過去に縛られ、自分たちを規定してしまう言葉に、どうしても違和感がありました。もちろん、歴史の重みは簡単に消えるものではありません。でも、そこにとどまり続けるのではなく、前に進む力を信じたいと思いました。
その時、私の中に一つの考えが芽生えました。
ネガティブな状況や過去に向かうのではなく、「頑張って結果を出そうとしている人を応援したい」と思ったのです。
ちょうどその頃、島のサッカーチームがナショナルリーグで上位に進出していました。
しかしなんと、選手たちは裸足でプレーしていたのです。シューズもなければ、ソックスもない。
それでも毎日丘の上まで駆け上がってトレーニングを積み、全力で走り、ボールを追いかけていました。
私は日本に戻り、スポーツメーカーに事情を説明しました。そして某有名スポーツメーカーにギアを寄付してもらえることになりました。シューズやソックスを抱え、私は再びセネガルへ向かいました。
島ではその贈呈式が行われました。頑張っている彼らをみんなの前で承認すると共に、他の子どもたちにも「僕/私もああなりたい」と思ってほしい。
この出来事は、私の中での「ポジティブアプローチ」の原点になりました。問題や過去に焦点を当てるのではなく、未来に向かって努力している人に光を当てる。その人たちの可能性を信じ、後押しする。それが、私の活動の出発点の一つです。



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