暗黙知探究フォーラム2027に向けて(6)〜スイッチ

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「なぜ、キャンプで寝ている人間を、野生動物は襲わないのか?」という動画を見ました。襲わない理由の一つとして、「おかしな匂いがする=未知の生き物」だと動物が警戒する、という説明がありました。

そして、「匂い」で思い出しました。

INTEGでは、Being SOLOという、自然の中で「一人でいる」ワークショップを行っています。その中の出来事です。

ワークショップ中は、参加者にスマホやPC、本などの使用を禁止していました。ところが私は、家に残してきた老犬の様子が気になり、ドッグシッターをしてくれていた友人とMessengerでやりとりしていました。(参加者には秘密です。笑)

その友人は自然に詳しく、特に鳥の専門家です。

「フクロウの声がします」

「ホー、が二回ですか? 三回ですか?」

「二回です」

「では、アオバズクです。声が聴けるなんて、羨ましい!」

という、他愛のない会話をしていました。

しばらくすると、

「あ!!! テントの外に、何かいるようです」

「シカやうさぎならいいですが、イノシシや熊なら、大変……」

その場所は、イノシシや熊がいないことを慎重に確認して選んだところです。

それなのに……

クンクン……。

おかしな匂いがする。

それまで、そんなことは全く気にしていませんでした。ところが、ある瞬間から、匂いがものすごくよくわかる。まるで、嗅覚のスイッチが突然入って、数十倍になったようでした。

キャンプでは、トイレをした後のペーパーをビニール袋に入れて、テントの下に置いていました。普段はもちろん、ほとんど匂いません。さらに、元来私はあまり鼻がいい方ではありません。

ところが、そのときは猛烈にニオイを感じるようになった。

そして私は、外に動物がいないことを確認すると、テントから出て、咄嗟にその袋をテントの下から取り出して、横にあった木の枝にぶら下げて、また逃げるようにテントに戻りました。

「ここは私のところだから、来ないで」とでも言うように。

面白いのは、これは私が頭で考えてやったことではないのです。

身体が勝手にやった。

そんな感じでした。

普段から、「人間も動物の一種」と考えています。

でも、自然の中で一人になったとき、思わぬところで、自分の中にある「生き物としての能力」が顔を出した。もしかすると、人間の能力とは、普段は「ない」のではなく、眠っているだけなのかもしれません。

私たちは普段、目で見て、耳で聞いて、頭で考えて、言葉にして判断しています。

でも、自然の中に一人でいると、何かをきっかけに、

カチッ。・・・とスイッチが入る。

魚のいる場所がわかる。
貝が見つかる。
鳥の気配がわかる。
危険を感じる。
身体が先に動く。

そういう能力は、私たちの中に最初から備わっていて、経験や環境によって目を覚ますものもあるのではないでしょうか。

暗黙知について考えていると、つい「知識をどう身につけるか」という話になりがちです。

でも、もしかすると、

「すでに自分の中にあるものを、どうやって目覚めさせるか」

という側面もあるのかもしれません。

そして、それにしても――

あのとき私の中で入ったスイッチは、いったい何だったのでしょう。

「ここは私のところだから、来ないで」

と体が反応した自分を思い出すと、ちょっと笑ってしまいます。


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