ポジティブ・アプローチの原点(2)

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INTEGでは、「課題・問題」ではなく、「すでにある強み・長所」に、より焦点を当てた取り組みを行っています。

いま振り返ってみると、そうした発想は長年の経験の中で「発見」してきたことだと感じています。

―― ドラムサークルから学んだこと

ドラムサークルは、「年齢・経験の有無・国籍文化・障がいの有無に関わらず誰でもその場で参加できる、打楽器の即興演奏」という優れた手法で、INTEGではこれまでに教育・福祉・コミュティー・企業で1,000回を超えるセッションを行ってきました。そうした活動に関わる中で、私の中の価値観がさらに明確になっていきました。

その中で、私が強く感じたことは、自分はそれぞれの参加者が「できないこと」にはほとんど興味がない、ということでした。むしろ、「この人は何ができるのか」に目を向けると、どんな立場の人もその場に「貢献」できる可能性を持っているということが、体験的にわかってきました。

一方で、福祉や教育の現場では、どうしても「できないこと」や「問題点」にフォーカスが当たりがちです。できないことを特定し、改善しようとする。それ自体は必要な視点かもしれません。

「できていない人」という枠の中に、子ども、障害のある人、高齢者、病気を抱える人などが入れられ、いつの間にか「弱者」「ケアされる存在」というレッテルが貼られ、それが固定化していく。その瞬間のケアが必要かどうかは、状況や時間によって変わるはずなのに、と考えました。

でも、ドラムサークルの場では違いました。

手が不自由な人は、使える手でリズムを支える。体が動きにくい人は、音で場を感じ取る。子どもは自由な発想でリズムを変える。高齢の方は音数が少なくとも参加できる。実は、ドラムサークルは「楽器演奏」なのではなく、「その場のチームのコミュニケーション」です。ですから、よく状況を観察して、自分ができる貢献を見つけて行動する人が、「最高の参加者」なのです。

そこには、弱者も強者もありません。ただ、それぞれの役割があるだけです。

人は「できないこと」で価値が決まるのではなく、「できること」で場に貢献できる存在である。そして、場がその可能性を引き出すとき、個人も、全体も、自然に力を発揮し始めます。

セネガルでの体験と同じように、そこでわかったのは、「問題を見るより、可能性を見る」「不足を見るより、強みを見る」ということでした。

それが、私のポジティブ・アプローチのもう一つの原点です。

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