アプローチと手法

「耳は自分の目には見えないかもしれないが、やはりちゃんとあるのだ」

– マーク・トウェイン短編『寓話』より

INTEGでは、さまざまな形のダイアログ(対話)を中心として関係性をアップさせ、生成的かつ自主的な集団を創る手法をご紹介しています。

忙しい日常業務の中では、メンバーは狭い視野・短期的視野に捕われて、「そこにあることの全体を把握する(俯瞰する力)」「自分がそこにいて、それを行なっている理由を確認する(存在意義)」「共にどこへ向かいたいか(ビジョン、ミッション、バリュー)」を見失いがちです。そこから脱して自主的かつ共創できる組織になるためには、まず「他者の心の声に、心から耳を傾け合う」というシンプルではあるものの、これまでにない新たな場を創り出す必要があります。

INTEGの取り組みは、「会話が変われば、未来が変わる」をコンセプトとして、自主性とエネルギー、クリエイティビティーあふれる組織のお手伝いをしています。

icon アプリシエイティブ・インクワイアリー (Appreciative Inquiry)

問いや探求(インクワイアリー)により、個人の価値や強み、組織全体の真価を発見し認め(アプリシエイティブ)、それらの価値の可能性を最大限に活かした、最も効果的で能力を高く発揮する仕組みを生み出すプロセス。Case Western Reserve Universityデビッド・クーパーマン教授とTaos Instituteダイアナ・ホイットニー氏が1978年に提唱し、ヒューレット・パッカード、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ノキア、AMEX、モトローラ、BMW、フィリップス、ファイザー、米国海軍、各国の町づくり、国連グローバルコンパクトでも使われてきました。

ポジティブ心理学(マーティン・セリグマン教授)でも言われるとおり、肯定的な思考はモチベーションとエネルギーを高め、より良い結果を生み出します。「ポジティブ・アプローチ」では、従来のような組織の欠陥や弱みに注目し、それを解決する「問題解決アプローチ」ではなく、強みや可能性などのポジティブな面に注目します。それによって否定的・消極的・固定的な枠組みが外されるため、単なる改善にとどまらず組織全体がコミットする多くの可能性を持つ戦略・計画を産み出せるのです。

スライド1

アプリシエイティブ・インクワイアリーは様々な形で行なわれますが、基本形としてはDiscovery(強みの発見)→Dream(理想と可能性を描く)→Design(実現可能な方法を決める)→Destiny(変革を持続させる)という「4Dサイクル」のプロセスで行なわれます。

またアプリシエイティブ・インクワイアリーは、組織開発のみならず、個人のリーダーシップやチームビルディング他、広範囲の目的に活用できるアプローチです。

icon ホールシステム・アプローチ

ホールシステム・アプローチが目指すのは、トップダウンによる意思決定でもなく、多数決による決定でもありません。立場や意見が異なり相反する利害関係にある人々(マルティステークホルダー)が、全員が納得できる合意に達するために力を合わせて望ましい未来を実現する方法です。

できるだけ多様なステークホルダーが集まり、全体脳を動員した会話からは、新しい知識が創造されます。また、それぞれの自主性やコミットメントが生じるやすいため、「(  機械ではなく)生命体」として自らを組み上げていく「自己組織化」が起こります。

こうしたアプローチが必要になった背景としては(1)相互依存関係の拡大 (2)過去の経験から将来ビジョンを描くことが意味を持たなくなった(アダム・カヘンの「3つの複雑性」参照) (3)従来型変革手法の行き詰まり (4)意思決定のあり方の変化  (5)イノベーションへの関心の高まり、があります。

ー『ホールシステム・アプローチ 1000人以上でもとことん話し合える方法』(香取一昭、大川恒)より

ホールシステム・アプローチで使う手法には、以下のようなものがあり、異なる目的やプロフェスのフェーズによって活用されます。
●ワールドカフェ ●AI(アプリシエイティブ・インクワリー)  ●OST(オープン・スペース・テクノロジー) ●プロアクションカフェ ●フューチャーサーチ  ●ストーリーテリング

icon アート・オブ・ホスティング

アート・オブ・ホスティング(AoH)とは、参加型リーダーシップを実践しながら学ぶトレーニング方法です。加速度的に複雑化する状況にあって、「共に」「大切なこと」を話し合える自主的な集団を創り出すことを目指して参加者はそれぞれのダイアログ・セッションを、コーチの支援のもとでホスト(ファシリテート)します。また、そこで話し合われたことを活かしアクションにつなげる助けとなるハーベスティング(刈り取り:記録、見える化)もAoHの大切な一部分となります。

AoHでは、ワールドカフェ、OST(オープン・スペース・テクノロジー)、AI(アプリシエイティブ・インクワリー)、ストーリーテリング、プロアクションカフェ等のダイアログのフレームが使われます。

これまでにEuropean Commissionやスコットランド議会、オハイオ州コロンバスの医療改革などを始めたとした、世界中の大小様々な組織やコミュニティにおいて用いられています。

AoH詳細(外部英語ページ)