基本概念

自らが幸せでない組織は、環境や社会のことを考えることができません。そのためには、

■ 一人一人が自主性を持って、イキイキと自分らしく働く組織をつくる

■ 従来の思考や関係性の枠を超えて、エネルギーとクリエイティビティーあふれる組織

■ 地球と自分の組織の未来に貢献しているという働く意義と誇りを持てる組織をつくる

であることが必要です。

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上は、マサチューセッツ工科大学ダニエル・キム教授による「成功の循環モデル」であり、よりよい組織や集団を作る為の影響関係を表しています。これまでの「行動→結果→行動・・・」という発想を超えて、関係や思考を考慮に入れている点が特徴です。また、こうしたシステム系を考える目的は、「どこにアプローチすれば、最小限の努力で最大限の結果を得られて、それが組織の根本的体質を変えることができるか?」をみつけることです。

「自主性を持ってほしい」「創造力を高めてほしい」「行動を変えてほしい」といったマネジメント側の希望は、安心してそのメンバーらしさが発揮できる関係性が実感されない限り実現できません。「やらされ感」「あきらめ感」という「思考」から生じる受け身な態度は、関係性が向上し、信頼する仲間と仕事ができるという感覚によって変化するでしょう。それが良い行動や結果をもたらし、さらに関係性がアップする「好循環」を創り出すことが、より良い組織づくりの近道ともなります。

しかし、望ましい「結果」は組織によってさまざまです。スライド1

「結果」はひとつしか目指せないというのが従来の発想でしたが、かつてない複雑な経済的・社会的・環境的時代に入った今日、もはやそれぞれを切り離して考えることはできません。柔軟性と即興力を持って一挙に取りかかるという取り組み方は、まさにSDGs(維持可能な開発目標)に通じると言えます。

「関係性」は、それぞれのメンバーが「歯車・ 機械の部品」ではなく「ひとりの人間」として受け止め合うことから始まります。また、これまでのように集まって「問題」について話し合うのではなく、ひとりひとりの思いや情熱、知識やアイディアをを共有し、集合知を引出される「場」の生成、つまり「生成的アプローチ」が必要となります。

また、複雑性と不透明感の増す環境の中、問題に取り組むには新たな枠組が必要となってきました。U理論の実践家として知られるアダム・カヘン氏は、原題の複雑性を以下のように説明しています。(『手ごわい問題は、対話で解決する』より)

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物理的複雑性の典型例は温室効果ガスと地球温暖化・グローバル経済における互いへの影響、生成的複雑性には地球温暖化・資源の枯渇、社会的複雑性には多様性の高まる組織・ESG経営への気運の高まり等があげられるでしょう。

カヘン氏は、

■ 複雑な問題の解決は、従来型の原因究明して、唯一つの正解を求めるという解決方式では実現しない

■ 複雑な問題への有力なアプローチは”対話”である

■ その対話は、”率直に話すこと”と”オープンで、内省的かつ共感的な聴きかたで成り立つ

としています。

組織メンバーとして、そして日本や地球の住民として働けるようになるための組織変革は、こうした新たなアプローチで実現できるのです。

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